バイワイアリング/バイアンプ編
…前もっておことわりしておきますにょ。今回は地味ですにゅ。絵も写真もあまりないですにょ。
(でじこ見た直後で文体が汚染されてます)。
にょ。「バイワイアリング」「バイアンプ」。いきなり聞き慣れない言葉が出てきましたが。私も3カ月前までこんな単語はご存じなかったです。
が、今ではうちのオーディオはバイアンプ化されてます。もうバイアンプ抜きにはうちのシステムは語れません。
その前にまずはバイワイアリングの解説から。
1.バイワイアリング化
ミニコンポとかでもちょっと高級になると左右のスピーカーそれぞれ大きいのと小さいの、2つのユニットがついてます。2ウェイってやつです。
大きい方が低音を、小さいのが高音を担当しますが、大きい方は大きい分だけスピーカーが鳴る事自体によって電圧が発生します。それが小さく繊細なもう一方のスピーカーの音に悪影響を及ぼします。
「だったら大きいほうと小さいほうのスピーカーケーブルを独立にすればいい」
それがバイワイアリングです。
というわけで私もさっそくバイワイアリングしてみました。
本来バイワイアリングするには、それに対応したスピーカーが必要です。高音用と低音用にそれぞれスピーカー端子がついてなければいけません。うちのスピーカーにはそんな高級なもんはついてません。そもそもケーブル直出しです。こういう安物のシステムこそ、バイワイアリングの効果が大きいのにね。
というわけでスピーカーの中を開けて、配線しなおします。元が1500円なので思い切ったことができます。
ところが開けてびっくり。うちのスピーカーはかなりひねくれた配線になってました。
普通、2ウェイスピーカーの中身ってこんな感じです。
だから単純に低音、高音それぞれにスピーカーケーブルをつなげばいいだけ。
なのにうちのスピーカーの中身ときたら。
完全に低音と高音の配線が一体となってます。こんなの見たことありません。コスト削減のためでしょうか?
バイワイアリングやりたさにネットワーク定数だのなんだのは無視して通常の配線につなぎ替え、強引にバイワイアリング化しました。
音ですか? 予想通り高音が伸びるようになりました。副作用は今のところありません。
2・バイアンプ化
バイワイアリングというのは、けれど2つに分けた配線を結局はアンプの出力端子のところで1つにつなげてしまうので、いわば応急処置にすぎないところがあります。これをもっと徹底させたのがバイアンプです。
これはズバリ、低音と高音のスピーカーを別々のアンプで鳴らしてしまおうというものです。さらなる高音質が期待できますが、大きな欠点もあります。アンプがもう一台必要になるのでお金がかかります。
2つのアンプは同程度の性能のものを使うことが多いので、5万円のアンプを使ってる人の場合はさらに5万円、20万のアンプなら20万、100万のアンプなら100万… と、相当の投資が必要です。
その点、うちのアンプは1台500円。なので追加投資も500円。
これは、やるしかないでしょう!
当初は低音と高音を別々のアンプで鳴らすやり方を試してみました。
ハイ上がりのアンプと低音番長なアンプを組み合わせればいかにもいい音で鳴りそうです。んがっ…
実際やってみるとどうにも相性が悪い。音の質が2台のアンプで違うので、一つひとつの音は綺麗でも全体としては全くまとまりのない音になってしまいます。聴くに耐えません。広い世間にはそれを乗り越え立派なシステムを構築してる強者も大勢いますが、私は早々にあきらめました。うちは左右独立方式でいくことにします。
となると左右で同じアンプが2台必要になりますが、あの天使と悪魔スピーカーを再び買い求めるのは事実上不可能なので、もっと一般に出回ってるものを2組揃えることにしました。
クリエイティブメディアのPC用スピーカー。おそらく平均的日本人の家庭には一家に一台あるでしょう。私もコストパフォーマンスがいいので愛用してます。ちなみにハードオフでのジャンク相場は2〜300円というところでしょうか。
スピーカーの中身
これを2組買ってきて中身をバラし、左右のスピーカーそれぞれにつなげてみました。2台で400円。バイアンプとしては記録的な安さでしょう。
うん、これはいい! 音の解像度があがりました。
本当は左右のアンプは独立電源のほうがいいのですが、面倒なので2つまとめて単3電池4本で動かしてます。「ブーン」というハム音が出るのではないか不安でしたが、そういうノイズは出てません。ただ電源ラインを通して左右の信号が漏れているみたいで、バイアンプのくせにちょっとチャンネルセパレーションが悪いです。といっても1台のアンプで鳴らすよりはマシなので、電池交換の簡便さを考えて、これでよしとします。
バイアンプは音の質があがるだけでなく、パワーも単純計算で2倍になります。私の使ってるような非力な電池アンプにはバイアンプはうってつけですね。一見贅沢なシステムに思えるバイアンプ、実は貧乏オーディオの救済策かもしれません。
唯一のデメリットは電池の持ちが悪くなったこと。今まで一日6時間以上鳴らして1週間近く持っていたのが、今は2日間で電池交換が必要です。燃費が倍以上悪くなってるのはなぜ?
3.さらなる音質改善
対応したスピーカーさえあれば、バイワイアリングにしてもバイアンプにしてもドライバーやハンダごてを握ることなく配線のつなぎ替えだけで手軽に試せます。しかしバイアンプのメリットを最大限に生かすのなら、スピーカーの箱の中を開けることが必要になるでしょう。
なぜか? それはスピーカーの中に、スピーカーの音を劣化させる諸悪の根源が詰まっているからです。
低音を担当するスピーカーには高音をカットするためのコイルがつながっています。これがないと音が濁るからです。
高音を担当するスピーカーには低音をカットするコンデンサーがつながっています。これがないと音が濁るだけでなく、スピーカーそのものが低音の強大な信号に耐えきれず壊れてしまうからです。
しかしこのコイルやコンデンサがスピーカーの音を劣化させています。いわば必要悪です。
スピーカーとアンプが1対1に対応したバイアンプなら、この必要悪を取り除くことができます。アンプ側でスピーカーの特性に合わせ、前もって低音あるいは高音をカットできるからです。
今回は低音部、つまりスピーカー側のコイルだけ排除してみました。そのぶんアンプ側で補正をかけましたが回路的に自信がないのでここで具体的には書けません。コンデンサはそのままにしました。これを取ってしまうと万一しくじった時スピーカーを破損してしまいますから。
で、音ですが、低音が見違えるようになりました。ビシッ、ビシッと反応が鋭くなりました。打楽器やピアノといった打撃系の音が生々しい。最初はその変化があまりに激しかったので耳のほうが拒否反応を起こし、「こんなのオレの求めてる音じゃないよ!」と思ったくらいです。でも聴いているうち、今回の改造は正しい音づくりに向かっていると確信できるようになりました。(耳にもエージングは必要みたいです)。
それと、低音の音量がわずかではありますが明らかに増えました(コイルの抵抗分が減ったため)。おかげで低音側のアンプに減衰用のアッテネーターを入れるはめになりました(普通は逆です)。といっても元々信号に直列で入ってる抵抗の値をちょっとあげれば済むので音質には影響なしです。
バイワイアリングの効果が1とするとバイアンプの効果は2、それに比べてコイルの排除は5くらいの効果がありました。陳腐な言い方ですがスピーカーを買い換えたくらいの価値があります。もはや元のセッティングに戻すつもりはさらさらありませんったらありません。
200円で買ったスピーカー内蔵アンプですが、改造に改造を重ねた結果、IC以外ほとんど原型をとどめてません。 電解、タンタル、フィルム、ポリプロ、MUSE、OSコン… ほとんどコンデンサの博覧会です。評判のいい銅箔スチコンも試したのですが、やたら外部からのノイズを拾ってくれるので外しました(指を近づけただけで唸るんです)。 抵抗も要所にリケンのRMAとかニッコームを使ってます。 スピーカーにあわせて左右で微妙に部品が違ってたりするのがご愛嬌。 バイアンプなのでこういうのがもうひとつあるわけです。左右の部品配置は逆になりますが。 |
もう、そんじょそこらのミニコンポには負けないと、胸を張って言えますよ!
ほぼ完成の愛機。かわいいでしょ?