これが最後のW2K!?
W2Kはデュアルで夢見る事ができるか!?
夜が明けた。仕事で全身は筋肉痛だが心は元気そのものだ。だって憧れのCPUが私の手の中にあるのだから。
朝寝坊なんかしてる場合じゃない。そろそろHDDも熟した頃。さあOSのインストールじゃ。
入れるOSはWindows2000である。二世代前のOSだがこれがベストだと思ってる。唯一の不満は起動が遅いことだけ。しかしほぼ全てのパーツを最新のものに総とっかえしたこのマシン、果たして旧式OSで事足りるだろうか。W2Kがデュアルに対応しているのは知っているが、実用に耐えるのか、結局やってみるしかないのだ。住み慣れたOSを離れXP導入をも視野に入れつつ(Vista? それはない)、インストールを進めよう。
なお、インストールはオーバークロックしたまま行った。ある意味究極の負荷テストである。結果からいえばあっさり成功した。
身近になった静音化
まず気づいたのがリテールクーラーの優秀さだ。起動時に一瞬高回転になるがそれ以降はおとなしく、なんとケースファンより静かだった。ファンレス化さえ覚悟していたCPU周りだが拍子抜けする結果だった。
そしてHDDはそれ以上に素晴らしい。この日立製HDDは今まで出会った中で最も静かだ。思いきってSeagateから乗り換えただけのことはあった。
静音化のキモとなる2つのパーツが優秀なため、先に買った電源と合わせて非常に優れた静音マシンができた。手を加えるべきところは何もない。唯一ケースファンを好みのものに替えただけだ。
音だけではなく発熱の点でも極めて優秀だった。PC停止直後、各パーツに手をかざして温度をみてみた。室温が10℃程度なのを考えても低い。
・電源 … 冷え冷え。 ・CPU … ほんのり。ただクーラー直下にコンデンサがあるので油断はできない。 ・チップセット … 人肌程度。オンボードVGAとサウスブリッジを兼ねていることを考えると非常に優秀。 ・HDD … 全然熱くない。こんな優秀なHDDみたことない。 ・メモリ … ちょっと熱い。M/Bのメモリ電圧がデフォルトで高めで(1.95V)かつ下げられないからだろう。ちょっと理不尽。 ・サウンドカード … お前が一番熱い。なんでだよ!(それでもおそらく40度台) |
発熱の低いパーツを選んで組んだのは事実だが、それにしても優秀だ。このまま夏を迎えても何も問題はないだろう。さらにはHDDを増設して1TB化(!)する事も、このHDDならもはやためらいはない。
これだけ低発熱/省電力だと、せっかく新調した380W電源がちょっともったいない気もする。小出力の良質電源の品揃えを増やしてほしいと思うのは私だけではあるまい。
ともあれここ数年のパーツの進化は望ましい方向に進んでいると思う。今まではPCを静音化するためにはハンダこてを握っていろいろやる必要があったが、今はパーツの選択に心掛けるだけで誰でも静音マシンを手に入れることができる。いい時代になった。
実用に耐えるオンボード
インストールが無事終わり、ひととおりのドライバを入れて、まず注目したのはオンボードグラボの画質だ。
ディスプレイにはDVI接続の液晶を使っている。DVIならばオンボードでも大丈夫だろうと選んだマザボなのだし、じっさい居間で親が使ってるPCもオンボードDVI接続で問題なく使えている。だが自分のメインマシンとなると話は別だ。私ゃ部屋にいる時は日がな一日でもPC眺めてるよな人間だ。PCで本当に大事なパーツはCPUやメモリやHDDではなく、キーボードとマウスとディスプレイだと知っている。そしてディスプレイに信号を伝えるグラボもだ。
オンボードはあくまで非常手段だ。グラボ(おそらくGeforce7600GS)を買うまでの、せいぜい1、2カ月の使用に耐えるか、という問題だ。
「使える」
滲みなど低レベルの問題は全く感じない。全般に不満はない。ただ今までのRADEON9600と比べて少しだけ印象が違う。
なぜか文字の線が細く感じる。色合いに深みが足りない気もする。安物のグラボのような傾向の色だ。だが違いはほんの僅か。これがオンボードの性能不足のせいなのか私には判断できない。それともメーカーによる「味付け」なのだろうか。忠実な再現がDVIの特徴だと思っていたのだが、どうやらデジタルの世界もなかなか奥深いようだ。
とりあえずのつなぎとしては十分使えるとわかった。だがひとつ困った事が起きた。このオンボードグラボ、中途半端に高性能なのだ。
いくつかベンチマークを試してみた。古いベンチで申し訳ないが。
・FF11ベンチ ver.3 … 6344(Lo)/3510(Hi) ・3Dmark03 … 2189 |
セッティングの詳細は後述するとして、この数値はいかにも中途半端だ。オンボードとしては優秀だがゲームをしない人間には意味のない数字だし、ゲーマーにとっては評価に値しない性能だ。
しかし、実はユーザー、つまり私自身も中途半端だったりする。私はたまにゲームをする。一番重いのは「フライトシミュレータ2004」で、このベンチマークの数値からすればちょうど過不足なく動くと思われるのだ。いずれグラボを増設、という決意が、この半端な性能のせいで鈍りつつある。画質と速度に不満がないならば、発熱の点でもオーディオ用PCという点でも、余計なものを積まないほうがいいのだろうし。
う〜ん、困った。せいぜい次の給料日まで悩むとしよう。
少なくともセカンドマシンとしては十分な性能をもったオンボードグラボである、と言っておこう。DVIに限れば、だが。
(このマザボにはHDMI端子もついてるけど、今のとこ興味ないし使える環境もないので、評価は他の人にまかせます)
やってしもた!
一応の安定動作を確認し、旧マシンのHDDを接続してデータを移行した。こういう時IDE接続が残っているのは助かる。マシンが黙々と作業を続けるのを見届け、昼食を食べに行った。
戻ってみると移行は済んでいたがCPUクーラーがやかましい。温度が上がっているようだ。再起動してモニタしてみた。
91℃
まただ。またやってしもた!
クーラーの取り付けだ。やっぱりきちんとついてなかったのだ。あんなに思い切り押し込んだのに。
改めて分かりづらい取説を読み、人為的ミスを発見。クーラーの四隅についてる「杭」には左回りの矢印が書いてある。これを回すと杭が閉まるのかとぐりぐり回していたのだが、これはクーラーを外す際の指示らしい。
そりゃ、きちんとついてないはずだ。
ものぐさは止めてマザーボードをケースから外し、納得がいくまでCPUクーラーと格闘した。その際グリスも手持ちのをつけ直した。無事、再起動。CPU温度はさらに下がり20℃前後を推移している。これでもう大丈夫だ… と、思う。
問題の矢印 |
長年愛用のシリコングリス。 紫いも風味。 |
好きになれない「杭」 |
しかし正直まだ納得がいってない。このクーラーの構造に、マザボにロックする機構に納得がいかない。一番肝心な部分の部品の精度が見た目からして頼りない。後で知ったが、マニアはこの「杭」をネジに改め、マザボの裏に「バックプレート」なる金属部品をつけて強度を上げているらしい。それが正解だと思う。でも、そんな事しなくても安心してつけられるクーラーを作ってもらうほうが、もっと正解だとも思う。
一見正常に動いてはいても、このクーラーがキチンとついていないマシンはきっと多いと想像する。この安易な取り付け方法は残念でならない。せっかく冷却性能が優秀なだけに。この点はAthlon64の方が上だ。
それにしてもあの温度でなぜCPUが強制終了しなかったのかは謎だ。
1333MHzに黄信号
新PCの安定性を調べるべく(と称して単なる楽しみで)いくつかのベンチマークを動かしていた。ところがあの「タイムリープ・ブートベンチ」を動かすと、やたらカクカクする。そのくせスコアはマシンなりで悪くない。なんかヤな感じだな… と思ってたらいきなりフリーズ。
疑ったのはメモリだが原因はCPUだった。FSBを下げると(1333MHz
-> 1300MHz)フリーズがおさまった。どうやら1333MHz(2.66GHz)では完全には安定していないらしい。他のアプリ(スーパーπとかFrieveAudioとか)では問題は起きていないものの、以後はクロックを落として使うことにした。コアの電圧を上げて安定させるのは私の流儀に反するし、そういう脅しが効く石でもなさそうだ。
この石(Pentium-DC E2140)はOCして2.66GHzで動くのが半ば常識となっているが、負け惜しみで言うのじゃないけど「動いてる」と言ってる人のPCがホントのホントに安定して動いてるのか、少々疑わしく思えてきた。
「タイムリープ・ブートベンチ」は使えるベンチだ。少しでもCPUに無理な設定だと、フリーズしないまでも動画がカクカクしてすぐそれとわかる。逆に「FFベンチ」はメモリセッティングが不安定な時に画像が乱れて教えてくれる。そんな状態でも「タイムリープ」のほうはへっちゃらで動いてたりして、アプリによって耐性に個性があるものだと感心した。もちろんPC構成が変われば反応も変わるだろうが。
この事に気づいてから効率よくPCのセッティングを追い込めるようになった。最終的なセッティングは以下の通り決まった。
定格 | 設定値 | |
FSB | 800MHz | 1290MHz(CoreSpeed:2580MHz) |
MEMORY | 400MHz | 430MHz |
メモリタイミング(CPU-Z読み) | 5.5.5.18.23 | 4.4.4.15.23.2T |
グラフィックコアクロック | 600MHz | 645MHz |
電圧 | 全てデフォルト |
定格で動けば上等、と思ってたノーブランドメモリが結構頑張ってくれた。マザボが勝手に電圧高めに設定してるし、結局2枚差しやめて1枚しか差してないからだろう(理由は後述)。
グラフィックコアのクロックも少し上げて、FSBとメモリとグラボのスピードが簡単な整数比になるよう調整した。なんとなくだけど。
エンコード、いきま〜す!
私ゃあんまり、いやほとんどエンコードしないんだけど、でもデュアルコアつったらやっぱりエンコードでしょ。
常々「DVDシュリンクでデュアルコアは効くのか?」知りたかったのは事実だし。
誰も教えてくれないんで、ここぞとばかりやってみた。
2時間の映画にかかった時間は…
「詳細な分析」…5分 / エンコード(シャープ)…15分 / 合計 20分。
なんか、次元の違う速さだ。う〜ん、さすがデュアル。
ひとつわかったことがある。「Windows2000は2GBもいらない」ってことだ。メモリ食いといわれるエンコードをしても、あるいはFrieveAudio使っても、3Dのベンチ動かしてみても、1GBはおろか500MBもつかってない! 電気の無駄なのでメモリを1本引っこ抜いた。どうせシングルチャネルなんだし。
そしてわかったのは「Windows2000はデュアルコアもおまかせ」ってことだ。「タスクマネージャ」でパフォーマンスをみてもしっかり両コア使い切ってるのが見てとれる。これでOSはW2K継続使用ほぼ確定。
「ほぼ」というのは問題点が2つほど残っているからだ。
ひとつはEIST、つまりコア電圧を下げること(ほぼあきらめてる)。
もうひとつは私の夢、NCQである。
動け、NCQ!
Athlon64とWindows2000の組み合わせでNCQは体験済みだ。その快適さも。
だがこのマザボにはWindows2000用のNCQドライバが、正確にはAHCIドライバが、存在しない。W2KがレガシーOSとしての扱いを受けていることをひしひしと感じる。
実を言うとHDDが速いのでIDE互換状態の今でも十分快適なのだが、それでも使いたいぞNCQ! 「試す」ことこそ自作派の本懐だ。
いろいろネットを探したら同じチップを積んだギガバイトのマザボに謹製ドライバがあったので流用しちゃおうと思ったが、それは最後の手段。まずはこのマザボのXP用ドライバで試してみることにした。どちらもリスキーなのに変わりはないが。
試すといってもAHCIドライバのインストールはひと仕事だ。それは通常、OSの再インストールを意味する。だが何事にも抜け道はある。nVidiaのチップに限り、単純に「デバイスマネージャー」でドライバの更新をすればよい。その後再起動し、BIOSでS−ATAの設定をAHCIに変更すればすんなりとAHCIに移行できる、はず、だ。
但しドライバそのものはダウンロードした実行ファイルを起動してフロッピーに書き込まないと作れない。フロッピーに生成されたドライバを使うのだ。
やってみました、FDD増設して。できました、ドライバ。
入れてみました、「デバマネ」で。そして再起動、BIOSの変更。
無論OSの入れ直しは覚悟の上さ。
あいや、一発で認識、嘘みたいにあっさりと、我がマシンはNCQ化された。さっそくベンチマークだ。
HDBENCH (DISK)
READ | WRITE | RandomREAD | RandomWRITE | |
IDE互換 | 87297 | 71960 | 31653 | 37600 |
NCQ導入 | 80820 | 74418 | 34664 | 38994 |
誤差はあるものの、シーケンシャルリードが遅くなり、ランダムアクセス(特にREAD)が速くなるNCQの傾向がみてとれる。
体感上は、使い始めて間がないのと元から速いのとで正直わからない。が、消費電力と発熱、耐久性は改善されるはず。マルチタスクにも強くなってるはずだ。
ひとつだけ、明らかに違いがある。「休止状態」に移行する時の異常な速さだ。これでNCQが有効だとわかる。
よっしゃ! これからも使い続けるよ、W2K。
各種ベンチマーク結果
最終的なセッティングで改めて計測したベンチマークの結果をここにまとめて載せておく。
設定は以下のとおり。
定格 | 設定 | ||
CPU | Pentium-DC E2140 | 1.6GHz | 2.58GHz |
マザーボード | BIOSTAR TF7100P-M7 | ||
メモリ | PC2-6400 1GB(ノーブランド) | 800MHz | 860MHz |
HDD | HITACHI DeskstarP7K500 (500GB) | NCQ ON | |
VGA | オンボード | 600MHz | 645MHz |
サウンドカード | PRODIGY 7.1 XT | オンボードサウンドはBIOSでカット | |
光学ドライブ | なし(外付けUSB) | ||
電源 | ANTEC EarthWatts380 | ||
ケース | ANTEC NSK2480 |
OS: Windows2000 + SP4 + DirectX9.0C
メモリタイミング: 4.4.4.15.23.2T
メモリの128MBをオンボードグラボに割り振り
HDBENCH3.40b6 (1280*768*32)
CPU | 371761 / 245338 |
メモリ | 197477 / 107007 / 217189 |
VGA | 49400 / 54400 / 6894 / 303 / 19 |
HDD | 80820 / 79875 / 36005 / 38081 |
SUPERπ104万桁 | 25秒 |
3DMark2001SE | 7087(NoAA) |
3DMark03 | 2189 ( CPU: 857 ) |
FFXIベンチ3 | Lo: 6344 Hi: 3510 |
タイムリープブートベンチ (参考値) |
19FPS(HDRなし) 6FPS(HDRあり) |
※ タイムリープ・ブートベンチは設定項目が多すぎるので、値そのものはあまり参考にならないと思う。
オーディオPCとしての性能
最後に、肝心のオーディオ用PCとしての性能だが… 実は困ったことになっている。ノイズが酷くて音楽を楽しむどころではない。
サウンドカードを改造したせいでノイズを拾いやすくなってるのだが、前のマシンではノイズは無視できるレベルだった。
ノイズはCPUに負荷がかかるほど酷くなる。またCPU負荷に関係なくボリュームを上げるとノイズが増える。
CPUを定格(1.6GHz)に戻すとノイズが減少したので、仕方なくしばらくは定格でメインボリュームを絞り気味に使っていた。これでも前のマシンより高性能だがFrieveAudioの性能を使い切るにはほど遠い。これでは新マシンを作った意味が薄れてしまう。
苦し紛れに「RightMarkCPU」というソフトを入れてみた。CPUの動作倍率や電圧を制御するソフトだ。本当はお気に入りの「CrystalCPUID」を入れたかったがnVidiaチップには未対応らしい(実際に入れてみたが駄目だった)。
RightMarkCPUを起動して倍率と電圧を落とす設定にするとCPU温度も下がり始めた。どうやらちゃんと動作しているようだ。そしてノイズも定格動作時並みに減少した! これはいけるかも。
電圧を落としたままクロックを上げていった。ノイズはほとんど増えない。CPU温度もほとんど上がらない。
CPUの消費電力はクロックに比例し電圧の2乗に比例する。今回のノイズはそれと歩調を合わせているかのようだ。ノイズを減らしたければ消費電力を減らせということらしい。
消費電力を減らし、かつCPUパワーは極力落とさぬようセッティングを煮詰め、以下の設定に落ち着いた。
電圧 | 1.212V(CPU-Z読み1.136V) |
CPUクロック | 2257.5MHz(322.5MHz * 7) |
これがギリギリの妥協点だ。これだけCPUパワーがあればFrieveAudioも不満なく動くだろう。
このCPUは電圧を上げてもOCできないが、逆に電圧を落としてもあまり性能が落ちない。それがせめてもの救いだった。
ゲームやエンコードをする時は、このリミッターを解除すればいい。問題はほぼこれで解決した。
但し、ボリュームを上げるとノイズが乗る問題は消えていない。今はメインボリュームを絞って使っているが音に迫力が足りない。いずれサウンドカード側の改造が必要だ。一部のコンデンサをOSコンに換装してみようと思う。玄人志向の「NO−PCI」(のPCI
Express版)を差してみるのも手かもしれない。
なに、改造なんか止めて元に戻せ? いや、それはない。
おまけ
「SpeedFan」で温度を測ってみた。 ・電圧は落とした状態 ・室温、約7℃ ・FrieveAudioで音楽鑑賞中(結構CPU食ってる) ちなみに演奏曲は泣く子も黙る『まほろまてぃっく for 川澄綾子』である。 とにかくHDDが優秀で嬉しくなる。 何も対策しなくても年中使えそうだ。 ・試しにCPUクーラーの電源ひっこぬいて簡易ファンレス化してみた。 |
・C2D / PentiumDCのリテールクーラーだが、NIDECやDELTAの他、FOXCONN、Fujikura、SANYOなどがあるらしい。
いにしえのユーザーとしては是非ともSANYOをゲットしたいところだ(昔のSanAceMCはやかましかったけどね)。
・デュアルコアは快適です。もう戻れません。