ベンチマーク&使い勝手
さて、ここまで長いことつきあっていただいたあなたに、おまちかねベンチマークのプレゼントだ。
とはいってもコンセプトが『サイレントPC』である以上、絶対的なスペックなど望むべくもないが。まあ「ソケット7でどこまでやれるのか」という参考程度までに。
そうそう、CPUは110MHz*4.5倍の495MHz(電圧1.75V)で動かしている。105*5=525MHzでも大丈夫だが電圧を1.8Vまであげないと安定しないので、少しでも発熱を抑えるための苦肉の策である。
このCPU(K6-2+/500)、2.1Vまであげれば550MHz、2.2Vなら600MHzくらいまでオーバークロックできるらしいが、私にはそんなかわいそうな事はできない。
HDBENCH ver3.22 (1024*768/16)
ALL | CPUInteger | CPUFloat | Memory Read |
Memory Write |
Memory R&W |
Video Rectangle |
Video Text |
Video Ellipse |
Video BitBlt |
Direct Draw |
Disk Read |
Disk Write |
Disk Copy |
13170 | 23956 | 15298 | 14217 | 7269 | 14311 | 19780 | 24543 | 3571 | 299 | 37 | 19375 | 19844 | 1662 |
CPUは、まあこんなもんでしょう。
気になったのがメモリのWrite値。異様に遅い。おそらくこれがソケ7の限界なのだろう。逆にReadとR&Wではいい値が出ている。今までノーブランドのメモリに散々悩まされてきた経緯があるので今回、少々高めの日立製のメモリを二枚差している。おそらくブランドうんぬんより同じ製品を二枚使ったのが功を奏したのだろう。ベースクロック110MHz、BIOSの設定も最速と、メモリには過酷なセッティングだが(CPUの非力さをメモリで補うため)、何のトラブルも起きていない。よっしゃよっしゃ、メモリ速いは七難隠す。
グラフィック性能については後述するとして、困ったちゃんなのがHDD。いくら4,500回転とはいえ20GBプラッタを搭載した最新型とはとても思えない惨めな数値。あえて「ノートパソコン並み」と言わせてもらおう。
SUPER π(104万桁) … 6分13秒
K6シリーズはどういうわけかSUPER πが苦手だ。この程度の値ならペン2の300か350で出せるだろう。
逆にK6にしては速いともいえる。大容量のメモリを高速なセッティングにしているのが効いている。
でもペン3−600を700にクロックアップしてた時は3分切ってたのになあ。おいおいおい…(過去の栄光)。
3DMark2000(1024*768/16) … 1247
ゲーマーさんが見たら卒倒しそうな値だ。「ひどい」を通り越して「お話にならない」。ちなみに今どきの標準的ビデオチップGeForce2 MXを搭載したマシンならおそらく4000はいく。
しかしなんと言われようと私はALL−IN−WONDER128以外使う気にならない。パソコンは「ビデオキャプチャーができてなんぼ」である。それなら最新のALL−IN−WONDER
RADEONにすればよさそうなものだが、空冷ファンのついたビデオカードなど、なんで私のかわいいサイレントPCにつけられようか。そもそもCPUが6,000円でマザボが4,000円のパソコンに(実はそうなんです)3万円もするビデオカードつけてどーする!?
さて、実際の使用感は?
たとえば引っ越しをして前の家より狭い家に住むのはとても嫌だと思う。同様に今まで使っていたマシンより遅いマシンを使うことになったらすごく不快だと思う。ペン3−600からK6-2+/500へ。一軒家から集合住宅に引っ越ししたに等しいランクダウン。この屈辱に自作派のプライドは保たれるのか!?
確かに起動は遅くなった。2分はかかる。アプリケーションの起動も遅く感じる。多くのアプリを同時に立ち上げるとペン3の時には感じなかったもたつきを覚える時もある。そんな時改めてペン3/BXの優秀さを思い知るが、だからといってそれがK6-2+/ソケ7への不満にはならない。セガラリー2はグラフィックを最高にするとコマ落ちするようになったが気にならない。動画編集はK6-2+がSSE非対応のため倍の時間がかかるようになった。でも30分が1時間になったところでパソコンに張りついている必要はないのでその間掃除でも洗濯でもしてればいい。
このパソコンを使い始めて、マシンの「欠点」を「不満」に感じなくなってしまった。
些細な欠点と引き換えに、私はパソコンに一番求めていたものを手に入れた。「静けさ」。カタログスペックに決して現れない心の安らぎ。この快適さの前にはベンチマークの値の100や200などどうでもよくなってくる。
筐体のコンパクトさも気に入った。いわゆるMicroATXミニタワーとほぼ同じ大きさだが奥行きが10センチほど短い。パソコンは家具と違って背面にコネクターがあるので壁にくっつけるわけにはいかない。結果「でっぱって」しまう。だからこの10センチの差、私にとっては結構ポイントが高い。
残された問題点
完璧なものなどない。まして手作りパソコンに不具合がないほうがおかしい。むしろ問題点を見つけてそれを克服するのが自作派の楽しみなのだが。
1・HDDが遅い
HDDは常にシステム全体の足をひっぱる存在だ。逆に速いHDDを使えばCPUの些細なスピード差などひっくり返せる。だがうちのHDDは遅い。
20MB/Sという転送速度自体は必要十分だ。実際AII-IN-WONDER128を使ったビデオキャプチャーではコマ落ちもなく快適に使える(ATI独自のコーデック使用/640*480のサイズで取り込み時)。
しかしそのスピードに達するまでにおそろしく時間がかかるのであらゆる動作が常に一呼吸待たされるのだ。非力なK6−2+でさえこの遅いHDDを持て余しているようにさえみうけられる。
2・起動が遅い
今どき2分も待たせるパソコンがあるだろうか。一台でなんでもやらせるためやたらとアプリを詰め込む私も悪いがやはりネックはHDDだろう。あと、どうもLANの認識に手間取ってるみたいなのでOSを98SEからMeに代えてみた。がたいして改善されず。結局元に戻した。
LANカードを買い換えるのが得策と思われる。
3・発熱
残された最大の問題。
このままの状態で夏を迎えるのは厳しい。最初に悲鳴をあげるのはおそらくビデオチップだろう。他の部品は夏を乗り切るだろうが特にHDDや電源はちゃんと動きはしてもその熱で寿命を縮めることだろう。
最終的にはケースに吸気ファンをつけるしかないと思っている。一般的には吸気ファンより排気ファンをつけるほうが効果的だが、このプラスチックのケースは密閉度が高い。負圧を考えると排気より吸気のほうがよいと思う。
ケースに余分の穴をあける手もあるがそれでは「サイレントPC」の意味がない。中の騒音が完全になくなれば、喜んでスカスカのガワを作るのだが。
しかし… まだ言葉が足りない。要するに私はこのパソコンに惚れてしまったのだ。ケースを自分で作る。それがどんなに楽しい事か、やってみないと分からないかもしれない。世界で一つ、自分だけのパソコンを得る喜びは他の何物にも代え難い。実はこれを作っている最中、指を思い切りケガしてしまった。傷痕は今もなお痛み、こいつのハコの中には今も私の血がこびりついている。かくして血の契約まで交わしてしまった私と愛機はもはや一心同体なのだ。
『俺がこいつを操るんじゃない、俺とこいつが一緒になって戦うんだ』(誰とや)
最後に「ソケット7よ永遠なれ」という想いを込め、我が愛機を『LANA−7』と命名する。
『LANA−7』主要諸元
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