じゃじゃ馬Duron編

 私の弟は、実に非力なマシン(K6-2/300、メモリ128MB)で実にたいしたCGを描いてきてくれる。私がそれに報いる道はただ一つ。彼のためにすばらしいCG専用マシンを送りつけることである。ふっふっふっ… 理由さえあればいいのだ、いや理由などなくてもいい。組めればよいのだ組めれば!

『ペインター』を快適に使えるマシン

 今回作るパソコンのコンセプトがこれ。非常に明快である。これを実現するための理想のパソコンを、私は頭の中で描いてみた。その仮想PCは次のようなものだ。

CG専用仮想PC『LANA−G5』

 CPU … Athlon 1GHz
 メモリ … 1Gbyte
 VGA … Matrox G400(or G450)
 HDD … 20GB程度

 『G5』の名の由来はその主要部品に4つの『』を冠したC専用マシン、という意である。むろん、『Mac G4に負けないぞ』という気合が込められている。実際このモンスターマシンの前ではG4など足元にも及ぶまい。

 しかしこの仮想マシンを実現するには、予算以外にもいくつかの問題点があった。
 ひとつはCPU。Athlonが高性能、低価格の優れたCPUなのは間違いない。だが発熱、電力面で不安があるのも事実。例によってケース自作のコンパクトマシンを作る予定の自分には不安材料が多すぎる。
 もうひとつはメモリ。最近のマザーボードは1Gから2Gのメモリが積めるものがほとんどだが、『積める』というのと『実際に使える』との間には距離がある。かつて安物のメモリを2枚差しして認識に苦労させた経験があるのでメーカーのカタログスペックを鵜呑みにはできない。そもそも『2枚差し』という言葉がある事自体、そこに問題が内包されている証拠ではないか。しかも512MBという未知なる大容量モジュールの2枚差しとなるともはや不安というより冒険である。

 以上の理由から『G5』計画はその規模を縮小する事にした。つまりCPUをAthlonからDuronに、メモリを1Gから512M(256M×2)に変更した。これでも十分快適なCGマシンができるはずだし、あとからパワーアップさせる楽しみもあるというものだ。

そして勇者はアキバに集う

 で、買ってきたものはこんな感じ。今回デジカメがないので私のイラストで勘弁してくだされ。

CPU … Duron 700MHz \3,480-
M/B … GA-7ZMM(中古) \10,800-
メモリ … 256Mバイト(133MHz CL2)×2 \7,160-
VGA … Marvel G400-TV(中古) \16,800-
拡張USBポート \880-
CDオーディオケーブル \200-
I/Oポート目隠し板 \300-
マザーボード用スペーサー × 6 \210-


 今回はそれほどケチケチせず買い物を楽しんだ。G400は是非一度使ってみたかったパーツ。CGマシンを組むには最良の選択だろう。マザーボードも是非一度ギガバイト社のものを使ってみたかった。このマザボのチップセットはVGAオンボードのKM133で、今回のPCには無用のはずだが、こいつの内蔵VGAの性能を見てみたかった。気に入ったらDuronともども自分のメインマシンにして、弟には新たなマザボとAthlonで組み直す魂胆である。
 その他(HDD、CD-ROMドライブ等)はうちにあるストックでなんとかなるはずだった。が…

甘くみてました

 ストックで済まそうと思ったパーツの中にCPUクーラーがあった。私はCPUクーラーマニアであり、ファンが家じゅうにゴロゴロころがってるありさまだ。但しそれらは全てソケ7か370(ペン3/セレロン)用で、Duronに適したソケットA用のものはひとつもなかった。実はDuron/Athlonでマシンを組むのは初めてなのだ。
 AthlonではなくDuron、しかも現在一番安い700MHzを選んだ最大の理由はそこにある。つまり不慣れなCPUを壊してしまうのではという不安があったのだ。これらソケットA型のCPUは実に扱いにくいと聞いている。どうせ壊すなら10000円のAthlonより3500円のDuronのほうがマシだ。発熱もたいした事ないだろうし。

 私がいかにDuronを甘くみていたか。このDuronをとりつけるにあたり最初に試みたCPUクーラーはファンなしのヒートシンクであった。またまたサイレントPCを狙ったのだが。その時の恐ろしい話をまあ、聞いてください。
 主要部品の取り付けを終え、最初の起動実験を行った。起動そのものは正常だった。発熱に対する不安が一応はあったので、起動後すぐにBIOS画面でCPU温度を確認した。

 93℃

 頭の中が凍りついた。表示温度は刻々と上がっていく。考える間もなく電源スイッチを押す。電源が切れるまでの4秒間、それが永遠に思えた。頭の中がパニックってコンセントを抜く事すら思いつかなかった。
 ヒートシンクを外して見ると、CPUにつけたシリコングリスがほとんどヒートシンクについてない。単純な接触不良。おそらくヒートシンクの取り付けバネが弱く、Duronの四隅についてるスポンジの圧力に負けたのだ。だがそんな事より、ヒートシンクがなければわずか10秒ほどでかるく90℃を超えてしまうDuronコアの容赦のなさ。Duronでこれだ、Athlonならば… 『瞬殺』。設定を間違えればわずか数秒で煙を吹くAthlon、その死にざまを自作派は恐れを込めてこう表現する。その言葉の意味を私は実感した。

受難は続くよどこまでも

 もはやサイレントPCどころではない。Duronが物言わぬ屍と化した可能性さえある。それでも一応、今度はちゃんとCPUクーラー取り付けて、祈るような気持ちで電源を入れる。おお、ちゃんと動いた! 地獄からの生還。再びかぶりつくようにCPU温度を確認。

 67℃

 ひ〜ッ! ちゃんとクーラー回っててこれかい! やはりソケット7用のへなちょこクーラーじゃ駄目なんかい! それでは、とセレロン用純正クーラーに替える。52℃。さっきよりはマシだがベンチマークする前からこれでは先が思いやられる。別のを試そうとしてクーラーを外したところ…

 ああ〜っ!

 そう、今度は『コア欠け』である。Athlon/Duronのコアは非常にモロく、クーラーの取り付け時に少し力が偏っただけでコアが欠け、そのまま使い物にならなくなる場合がある。私も知識として知っていたが、まさかこんなにあっさり起きるとは… 『瞬殺』、『コア欠け』。私はもう怖くてクーラーを取り付けられなかった。それでもつけないと動かない。泣きそうな気持ちで、うちで一番冷えそう(かつ、やかましそう)な「Titan」というソケ7用クーラーをつけた。コアの欠けたDuron君はちゃんと起動した。43℃。ようやく許容できる温度に達した。しかし私は疲れ切っていた。Duronがこんなにも扱いにくいとは… しかもこのCPUクーラーでさえなお不安が残る。もう一度アキバにいってちゃんとしたソケットA用のクーラーを買うしかあるまい… 大好きなはずの自作が憂鬱になってしまった。Duronとの、わずか2時間ほどの格闘で、私は「恐れる人」となった。そして思い知った。Intelの偉大さを。

その後

 組み立てには難儀したがその性能はすばらしい。Duronもだが、圧巻はG400である。その表示のきれいさ。ディスプレイをワンランク上のものに買い換えたくらい違う。しかも速い。今まで使ってたRAGE128やi810のオンポードVGAと比べればだが。3Dゲーマーでなければ価格も下がったG400/450は最良の選択だと思う。ただG400お得意のデュアルヘッドモードだとビデオメモリが二分割され、大容量テクスチャを使うポリゴン画面では極端なコマ落ちが起きた。フライトシミュレータなどポリゴンでマルチディスプレイを使いたい人は、少しでもメモリの多い32MB版を買うべきだろう。あと、私の買ったものはビデオキャプチャ機能つきだが、画質に関してはATIのAIWシリーズのほうが上だと思う。使い勝手はどちらもまあまあ。総合的には満足している。ちなみにKM133のオンボードVGAだが、あまりに遅くノイズが多いので(2Dは実用範囲内)、ベンチマーク途中で使用を放棄した。
 512MBという大容量メモリが『ペインター』の操作感にどれだけ貢献しているのかは不明だ。メインマシン(Celeron488/256MB/i810 onboradVGA)と詳細を比較すると…
起動速度 … 以前と変わらず(おそらくHDDの性能で決まる)。
画像読込 … 速い。明らかにメモリ増設の効果あり。
画像処理 … CPU性能に左右されると思われるが、体感速度さして変わらず。
 というわけで肝心の『ペインター』の使用感はたいして改善されなかった。今までのマシンで『ペインター』の使用には十分だったのか。それともまだパワーが足りないのか。ともあれ結果として何にでもストレスなく使えるマシンができた。ちなみにCPUクーラーだが、結局Athlon/Duron純正のTaisol製のを買ってきた。取り付けも今までの苦労を思えばラク。しかし取り外すのはもうゴメンだ。自作の楽しみは部品をとっかえひっかえ比較するところにもあるのだが、Duron(当然Athlonも)は一度つけたらそれっきりにするしかないと思う。今回の私の結論はこうだ。

自作派にはペン3

主要諸元

今までで最強のマシンであることは間違いない

CPU Duron700 (up to 721MHz)
cooler Taisol CEK733092
M/B GIGABYTE GA-7ZMM
memory 256MB*2(133MHz CL2 MICRON製)
VGA G400-TV(SGRAM 16MB)
HDD IBM 40GB(暫定)
CD-RW PLEXTOR PX-W1210TA(暫定)
POWER DELTA 145W
SOUND onborad(SB PCI128相当)
K/B,MOUSE,MODEM,FDD等

ベンチマーク (FSB 103MHz*7 memory137MHz CL2 1024*768 16bitで計測)

HDBENCH 3.2.0 … メモリの速さ、ひいてはチップセットの優秀さがめだつ

ALL CPU
Integer
CPU
Float
Memory
Read
Memory
Write
Memory
R&W
Video
Rectangle
Video
Text
Video
Ellipse
Video
BitBlt
Direct
Draw
Disk
Read
Disk
Write
Disk
Copy
20545 29103 35200 16327 21336 24467 38380 56371 5234 546 74 28771 18826 5847

Super π … 1677万桁完走。速さ、安定性とも文句なし

 104万桁 … 2' 50"
 1677万桁 … 1h 11' 05"

3DMark2000 … 2595 私の制作するマシンで初めて2000を超えた。今さらの感もあるが。


その後…

 2年ほどこの構成で弟に使ってもらったのだが、2004年の夏に不具合発生。実家から変わり果てた姿の我が娘が送り返されてきた。
 開けてびっくり。内部一面びとびとに濡れている。弟に電話したところ「調子悪くなったのでクレ556をかけた」との事。なんて奴だ。
 拭き拭きした後、乾燥させ、組み直したら普通に動いた(愛の勝利だ)。筐体を市販の何の変哲もないものに替え(弟にはこれで十分だ!)、ついでにCPUをAthlon1100に換装して送り返す。その後は何も言ってこないのでまともに動いてるのだろう。


DIYメニューへ   

inserted by FC2 system