IrDA増設編


 新PCに先立ちケータイを買い換えました。といってもプリペイド携帯ですが。
 第二世代携帯が使えなくなるという事情でやむなく買い換えたのですが、さすがに以前のものより使い勝手がいいです。

SoftBank 730SC

 ケータイのカメラなどオマケと思ってましたが、こいつのカメラは130万画素ながら映りがいい。シャッターを押した時のもたつきがないのも気に入りました。
 ところがせっかく撮った写真をPCに移す方法がないのです。

 メールで送ろうにもメールの契約はしてないし、今後するつもりもありません。
 外部メモリを使えばよさそうなものですが、このケータイは外部メモリが差せません。
 USB接続も試みました。それっぽいソフトをダウンロードして試しましたが、この機種自体にロックがかかってて無理みたいです。
 現状では、撮った画像を赤外線通信で家族のケータイに転送し、そのケータイのメモリを抜いてPCに繋げるしかありません。
 これでは常用する気になれません。

 せっかくこのケータイを好きになれそうなのに。
 PC大好き人間としてはなんとしてもケータイとPCをつなげたい。
 どうやらPC側に赤外線通信アダプタをつけるしかなさそうです。
 しかし赤外線アダプタなんて、まだあるの?
 私が初めて買ったPCにはIrDAと呼ばれる赤外線アダプタがついてました。こんなもん自分には一生必要ないと思ってました。しかし人の一生は長い。まさかそれから10年以上たってから必要になるとは。
 当時のマシンはとっくに人手に渡ってます。型落ちノートPCも数年前に廃棄しました。手持ちのマシンでIrDAが使えるものなどありません。
 いや、ひとつだけありました。
 

さて、これは何でしょう?
これは昔「プリシェ」と呼ばれていた富士通製PCの残骸です。
昔プリシェを使ってた人でも、まさかこれがかつての愛機と気づく人はいないでしょうが。

10年ほど前にハードオフでジャンク品を買ってきて、思いのままいじりたおしました。
今はこうして部屋の片隅に眠っています。


これには確かIrDAアダプタがついてたはずです。




ありました!

 けど、これをどう使えばいいというのか!?

 幸い、使用中のPCには(いまどき)IrDAの端子がついています。しかしそれとこれとをどう繋げばいいのかがわかりません。
 プリシェの修復も、これだけ破壊し尽くしてしまっては不可能です。


 廃物利用はあきらめ、新たにIrDAアダプタを買うことにして日本橋に出かけました。CPUとマザボを新調するついでに。

 ところが、たかがこれしきのものが日本橋中歩き回っても売ってません。
 最新の品揃えの店から場末のジャンク店まで、およそこの手のものを売ってそうな店は片っ端から入ってみましたが。
 ようやく馴染みの店で唯一見つかったものが、Bluetooth兼用のUSBタイプのアダプタで、値段は3000円。
 ケータイ本体が5000円、新しく買ったマザボもCPUも6000円しないのに、ここで財布の紐を緩めるつもりはありません。
 こんな時、彼方の秋葉原を思わずにはいられません。あの町なら望むものが手に入るだろうに…
 悲しい思いですごすごと日本橋から撤退しました。

 好きじゃないけど、ネット通販に頼るか…

 でもネットでならいつでも買える。その前に手持ちのアダプタでチャレンジしてみよう。
 それで駄目なら買えばいいのです。


いっちょう、やったろか


 私の決意を後押ししてくれたのは、買ったばかりのマザボ(AsRock A780GM-LE/128M)でした。
 このマザボ、今年(2009年)出た新型なのに、なんとIrDA端子がついてます。
 ここで頑張らなきゃ自作派じゃない!

 手持ちのアダプタから伸びてる端子は5本。
 PC上の端子も5本。
 正しく繋げば赤外線通信ができるはず。
 マザボの取説には5つのピンについての説明が載っていました。

・IRTX
・IRRX
・+5V
・GND
・DUMMY

「+5V」が電源のプラスを表すのは容易に想像できます。
「GND」も、ハンダごてを握る人間なら分かります。「ground」つまりアース。これは電源のマイナスを表すと思ってまず間違いありません。
「DUMMY」は文字通りダミー。
残りの2つは意味がわかりませんが、この2本の線をデータが通ると考えるのが普通です。


問題はアダプタ側の端子です。
これについての資料がまったくありません。ネットで調べたけど無駄でした。
自分で配線を追って解析を試みました。

まず、一番分かりやすいのが「GND」。
これは基盤を裏返せばわかります。基盤の配線の中でもっとも面積の大きいのが「GND」と思ってほぼ間違いなし。
「+5V」も推測可能です。基盤には大抵、電源を安定化させるため大きめの電解コンデンサがついてます。電解コンデンサには極性があり、マイナス側には「-」という表記があります。なので表記のないほうがプラス、つまり「+5V」。
「DUMMY」もテスターを使えばわかります。5つの端子のうち、電気的に繋がっていないのが「DUMMY」です。


 5つの端子のうち3つまでは解析できました。しかしあと2つがどうしてもわかりません。これ以上調べても分かるとは思えません。
 あとは実際に接続してみるしかないでしょう。
 成功する確率は1/2。



 2つの配線のどちらかを繋げば成功。間違えば失敗。
 こんなシーン、映画では何度となく見ています。
 まさか平凡に生きる自分にそんな劇的な瞬間がめぐってくるとは。
 こんな時ハリウッド映画のヒーローなら、気の利いたセリフのひとつもいってのけるのでしょう。
 しかしこの時私の脳裏に浮かんだ言葉といえば、

  「近いほうでええわ」


 配線同士が近いほうが繋ぐのが楽だと思ったのです。
 結局、それだけの理由で配線を繋ぎました。


昔のモデム用の電話線を使いました。

わかりにくい画像だけど、
PC側にコネクトしたの図。



 買ったばかりのマザボとアダプタをつなぎます。
 さすがに緊張します。
 問題の配線はデータの経路、電力線ではないのが救いです。間違えても爆発する恐れはないでしょう。
 しかし解析したつもりの電源ピンを間違えていたら、スイッチを入れた時点で悲劇が起きるでしょう。

 全ての神経を集中して、電源を入れました。
 悲劇はおきません。そして無事にOSが起動。
 いよいよです。ケータイを赤外線送信モードにして、アダプタにかざします。


 やった、やった、やった!

 思わずガッツポーズです。1/2のギャンブルに勝利した瞬間です!
 ケータイからケータイに画像を送ってた時はファイルをひとつずつ手動で送るしかなく面倒このうえなかったのが、一括して送ることができるようになりました。その1点だけでも飛躍的に便利になりました。
 しかし自分でやっておきながら、こんな手作業でもちゃんと認識できてしまったことに感激です。
 苦労して繋いだだけにそのありがたみはひとしおです。

 唯一残念だったのは、肝心な時に気の利いたセリフが思い浮かばず、ハリウッドの英雄になれなかったことです。
 みなさんもいざという時に備えて決めゼリフを考えておきましょう。


DIYメニューへ   

inserted by FC2 system